30年ぶりの五色沼
2013年 09月 19日
30年前、確かにここへ来た、という記憶はある。
でも、あのとき私は、ここで何を想っていたんだろう…
どうして、この美しさを、憶えていないんだろう…
昨日、裏磐梯の五色沼のほとりの散策路を歩きながら、そう思いました。
昨日は友人と、福島の郡山に所用があって出かけ、せっかくだから…と
車を借りて、裏磐梯を訪ねてみました。
友人は初めてでしたが、私は…
私は30年前に来ているので、2度目でした。
当時つきあっていた恋人の故郷が山形県米沢市だったのですが、
米沢にある実家を訪ねたときに、米沢案内をしてもらったり
"ちょっと足を延ばせば行かれる福島・裏磐梯"へ行ってみよう、と
ドライブに誘ってもらって、出掛けたことがあったのでした。
その彼は、私を「この人と結婚するよ」と御両親に紹介し、
彼の御両親は「こんなよいお嬢さんがお嫁に来てくれるのか…」と
大喜びして歓迎してくださり…
でも私は、あまりにも真っ当で温かい人たちと「家族」になることや、
積雪が3mにもなるというこの田舎の家に嫁ぐことについて、
覚悟ができない…というか、嫌なんだ、ということに気づいてしまい、
だからせっかくの五色沼でも上の空で、
どうしよう…、結婚はできない、でもなんと言おう…
そんなことをぐるぐると頭の中で考えていたばっかりにきっと、
この美しい裏磐梯を、ちゃんと味わうこともできず帰ってしまったのだ
と思います。
こんなに美しかったんだ…!
台風が去って快晴だったこの日は
空は抜けるように青くて、
地面はしっとりと、土のよい匂いをほんのりと立ち上らせていて、
木々はそよ風に揺れていて、鳥や虫が鳴いていて、
五色沼は、その名のとおり、それぞれの沼が異なる色で、
沼の水面はキラキラ日の光を反射させていて…
欠けているものなんて、何もない。
すべて、今ここにある。
一瞬でしたが、そんなふうに思いました。
ちゃんと五感を使って今この時を味わうということが
なんだか泣けてくるくらい幸せなことに思えたのでした。
短い時間でしたが、昨日は美しい福島県を堪能した素敵な一日でした。