サク、大学をやめる
2012年 03月 22日
もらって来ていた届出用紙の記入を済ませ、捺印し、私と一緒に届け出てきた。
昨年の今頃は、良い大学に入ったねと家族で喜んで、本人も希望に満ちていたのだけれど、4月に入学して夏を過ぎた頃から、サクは学ぶ意欲を失っていった。文系の大学生というのはそんなにヒマなんだろうか・・・と訝しんだが、大学へ行く日は週に2~3日という感じになっていた。その2~3日でさえ、家は出ても大学へは行ってなかったかもしれない。
何度か話し合ったけれど、サクが履修できる内容に失望し、学科でもサークル活動(ジャズ研でドラマー)でも、親しい友達ができないことがわかったから、そして私はだんだん元気を失っていくサクを見ているのが辛くなったから、もう大学を辞めてみてはどうか、と言ってみた。「違うとわかったのだったら、次を考えよう」と。
そうしたらサクはやはり、大学はもう辞めたいと言い、海外へ語学留学したいと言った。
それでアメリカ留学を決めたのだけれど、なんとなく怖じ気づいたのか、費用180万円を振り込んだ後になって、キャンセルすると言い出した。
自動車運転免許の教習所通いも、ちんたらちんたら・・・で半年以上経過し、いつまでも取得できず、さらに短いながら家出を2回し・・・、ほんとうに "もがいている" 状態が続いた。
私はサクの混乱や葛藤にすっかり振り回され、一緒になって停滞し、疲れてしまった。
中学受験をして入った中学校を辞めてからの5年間の息子の苦悩は、どれもこれも母である自分のせい、と、責任感や罪悪感で、ずっと苦しかったけれど、大学もまた続かないのか・・・、私はまだ許されないのか・・・と。
これが友達の話だったら「放っておきなよ、心配ないよ。人生長いんだよ? 信じて待ちなよ」そうアドバイスしたに違いないのだけれど・・・、とにかく私は、道に迷ってしまったサクに対して申し訳なさでいっぱいだった。
それでも、今月になって落ち着いたサクは、5月から沖縄へ渡り 半年かけてダイビングのインストラクターの資格を取得することを決め、運転免許のほうもつい数日前、やっとのことで取得して・・・
とりあえず進路を決めたことと、免許を取得したことで、なんというか波動がぐわっと上昇して、明るさと力強さが感じられるようになり・・・
そして、保留にしていた退学もきちんと年度内に済ませようということになり、今日無事に、退学届を提出してきた次第だ。
もう、”早く何者かにならなくてはいけない” などと焦ったりしなくていい。
ゆっくり、ゆっくりでいい。
自分にしっくりくるものを見つけて、今度こそいい友達をつくって、楽しくやっていってほしい。
私は、見守っていく。
思ってもみなかった才能を開花させちゃう笑顔のサクに会えることを、信じて待っていよう。
「ここの桜、きれいで有名なんだよ。でも、見せてあげられなかったね・・・」とサク。サクはいつも優しい。