「情けない自分」を開示できる人を持つこと
2014年 05月 21日
昇進して「研修担当」となり、仕事を辞めたくなってしまったと言うA子さん。
もともと社交不安障害のあった方ですので、人前で話す仕事を担うこととなり、とても辛そうでした。
誰でも初めてのことにチャレンジするときは多少なりとも恐怖は感じるものですよね、とお話ししても、
「自分くらいの経験がある者なら、できて当然のことなんです」、
「本当に自分は情けないです」、
「抜擢した上司は失望していると思います」
と頑なでした。
また、仲が良かったという同期の友人にも
「自分だけ昇進したことで壁を作られてしまった」、
「嫌われたに違いない」
と言います。
私が何を言っても納得できないようでしたので、
私はひとつ「宿題」を出しました。
職場の二人の人に、それぞれこれを話してみてください、と。
一人は、自分を研修担当に抜擢した上司です。
上司に「なぜ自分を研修担当にしたのか?」と聞き、じつはこういうところを難しく感じている、と打ち明けること。
もう一人は、昇進するまでは仲が良かったのに近ごろ疎遠になってしまったという同期の友人。
友人に「じつは悩みがあるから話を聞いてほしい」と言ってみること。
A子さん、初めは難色を示しましたが了承してくれ、そして、ちゃんと宿題をやってきてくれました。
上司からは、
自分の良さや信頼感を聞かせてもらい、そして何か困ったことがあったら一緒に考えるから、いつでも相談してほしい、と優しい言葉をかけてもらい驚いた、そしてとても安心した、とのこと。
友人からは、
相談したいと言ったことを、すごく喜んでもらえて、これまたすごく驚いた、自分の昇進を面白くないなどとは思ってはおらず、むしろ今は大変そうだな…、食事に誘いたいけど声掛けにくいな…、と思ってた、と言われたとのこと。
…… (^-^)v
私はそれ、想定できていたわけですね。だからこそ出した宿題でした。
A子さんは、自分は駄目、自分は情けない、上司に呆れられてる、友だちに嫌われた……と、ありとあらゆる最悪な『思い込み』を手放さずに苦しんでいたわけですが、お話を聴き取ると、どれも思いすごし、ということが私にはわかりました。
でも、A子さん、そう言っても信じてくれません。腑に落ちません。
だから、確かめてもらったんです。
ほんとに上司は失望しているのか。
ほんとに友人に嫌われてしまったのか。
これを自分の行動で確かめたことでA子さんは、『思い込み』を解いたばかりでなく、行くのが辛くて辛くて仕方がなかった職場に「上司」と「同期の友人」という『サポート源』になってくれる人を2人も、作ることができました。
A子さんは「信じられないくらい楽になった」とのことでした。
いい感じに力も抜けて、柔らかくなりました。
弱音を吐けず一人抱え込んで辛くなってしまっている人は、できるだけ身近なところに、本音を言える人を誰か一人、見つけられるといいです。
怖くて、勇気が要るでしょうが、実際に行動して実感することによって、
「情けないところ、ダメなところを見せてしまっても大丈夫なんだ」
と、頭じゃなくて体で知ることですね☆
(※A子さんの話は、半分フィクションです。)