映画『ぼくたちの家族』
2014年 05月 31日
父(長塚京三)、母(原田美枝子)、長男(妻夫木聡)、次男(池松壮亮)の4人家族。
家族で紅一点の母親・玲子が、いきなり「余命1週間」と医者に宣告されるという一大事に、バラバラになっていた男3人…夫、長男、次男それぞれが「お母さんを助けなきゃ」と動き出し、"ぼくたちの家族"の露呈した問題を受け止め、そして結束する家族のお話です。
この映画、従来の難病ものと違います。また、古い家族の物語ではありません。
今どきのどこにでもありそうな家族の姿を、ユーモアを交えながら描いています。
妻の余命宣告にオロオロするばかりの父(会社経営してます)は、実は大きな負債を抱えていました。
弱さをさらけ出す頼りない姿には、もはや威厳はありません。
余命1週間と言われた母は、脳腫瘍の影響で、記憶障害に加えて、それまで隠してきた本音を無邪気に炸裂させ、幼な子のよう。サラ金からの借金も発覚。
そんな親に対して、
長男は長男らしく苦悩し「自分がなんとかする」と ≪家≫ を背負って立つ覚悟をします。
次男もまた、一見おちゃらけていて軽いのですが、実は "ちょっと離れた"立ち位置から「とっくに壊れてた」家族を見つめて来たことがわかります。物語後半の奮闘にはきゅんとなりました。
妻夫木くん演じる長男と、池松くん演じる次男の対比が鮮やか。
二人の若手演技派俳優がとってもいいです。
妻夫木くんももちろんですが、池松くんってすごい役者さんなんだと驚きました。
長塚京三による「父」は "ダメ父" なんだけれど憎めず、原田美枝子の「母」はとにかく可愛らしく、素晴らしいです。
監督は『舟を編む』や『川の底からこんにちは』の石井裕也監督(30歳)です。満島ひかりさんのご主人ですね。ほんとに才能ある方! 若き俊英、ですね。
狼狽えジタバタしながらも母親をなんとか助けようとする男3人の姿に打たれました。
父、長男、次男の、男3人のジョギング・シーンがとっても印象的。
そして、ラストシーン…!
「男ってほんとに可愛い」、「息子が2人いるって、こんな感じ?」と、私は母の目線で堪能しましたが、
これはきっと、観る人が4人のうちの誰かに自分を重ねる、"ぼくの/私の 家族の物語" です☆