要らない感情なんて、ない ~映画『インサイド・ヘッド』
2015年 08月 08日
頭の中の "感情たち"(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ)を主人公にしたファンタジー・アニメです。
ディズニー/ピクサーはこれまで、オモチャとか虫とか魚とか車とか・・・人間でないものを擬人化した物語を作ってきましたが、遂に「感情」が主人公です。
序盤から「ピクサーすごい!」「やるなぁ・・・☆」と感激してしまいました。
11歳の女の子ライリーの頭の中・・・「司令部」では、「ヨロコビ」(喜び Joy)が中心になって、ライリーの日常を司っていました。
「カナシミ」(悲しみ Sadness)、「イカリ」(怒り Anger)、「ムカムカ」(嫌悪 Disgust)、「ビビリ」(恐れ Fear)より、「ヨロコビ」が強い。
これは健全で幸せな11歳の子どもの頭の中でしょう。
ところが、父親の仕事の都合で、住み慣れたミネソタの田舎町から大都会サンフランシスコへと引っ越すことに。生活の大きな変化に、ライリーの心は不安や戸惑いで不安定に・・・
不安定・・・これじつは、頭の中で、ヨロコビ、ムカムカ、イカリ、ビビリ、カナシミの5つの感情たちが、ライリーを守るためにぶつかりあっている、っていうことなんですね。
やがて事件が起こってしまうのですが・・・
映画では、ライリーに実際起こっている出来事と 彼女の頭の中で起きていることを交互に見せながら、
嬉しい記憶、悲しい記憶、一時的な記憶、長期記憶、特別重要な記憶・・・という、記憶の「分類」や「保存」のされ方、また「記憶が消えていく」ということについて、わかりやすく見せてくれています。
それから、人のパーソナリティーを構成している部分として描かれている場所が、「司令部」と繋がった「島」として存在している、というのも、おもしろかった。
「無意識の底」とかも、すごいなぁと感心。
私たち心理カウンセラーやセラピストも扱う "目に見えない世界" を、よく出来たストーリーと美しい映像で見せてくれていて、カウンセラーとしても、すごく嬉しかったです。
感情には、ムダなものなんてないんですよね。
"ネガティブな" 感情・・・「怒り」だって「悲しみ」だって、全部、だいじ。
「ヨロコビ」が、ライリーを悲しませてばかりの「カナシミ」の大事な役割に気づいていくプロセスが素晴らしい。
「カナシミ」が悲しみを表現できたことで、11歳の少女はちょっと大人に成長する。両親も変わる。
そして感情の司令部の「コントロールパネル」はグンと充実しました。
操作ボタンが増え複雑になり、でっかくなってました。
喜びも、悲しみも、どんな感情も味わえる人は、感情の種類を増やしていく、そしてどんどん豊かになっていくんですよね。
あ、最後、いろんな人たちの「頭の中と行動」をセットで見せてくれてました。
猫の頭の中も!(猫の頭の中って、ああなのかも!ふふ、きっとそう!と思って、クスッと笑ってしまった!)
映画を観た後は、自分や他人が たとえばイライラしてしまう時、心配に取りつかれてる時、楽しいはずなのにブルーになってしまう時・・・、そういう時、頭の中では "感情たち" が何してるのかな、って、きっと思えるでしょう。
どんな感情も、その人を守ろうと思って一生懸命働いてるんですよね。
とっても楽しい、いい映画でした。
声優を務めた竹内結子さん、大竹しのぶさん、素晴らしかったです。
お薦めします★★★★★