「笑顔を引っ込める」?
2016年 09月 26日
接客業をしている "とても感じの良い" 青年のお悩みを伺っていて思い出した話を書きます。
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先日、ある手続きがあって、市役所へ行ったんですね。
昔と違って今は、窓口の対応も感じよくなりました。
笑顔もあります。
(昔はエラそうだったしチンタラしてたし、ほんとに感じ悪かった・・・)
手続きをやっとこさ済ませ、やれやれ・・・と疲労を感じながら市役所を出てから考えました。
どうして自分は、あそこまで(一瞬 声を荒げてしまうくらい)イライラしたんだろう・・・
窓口で対応した担当者は、私の言っていることの意味が解らないと言い、それは無理だと言い、「原則こういう決まりになっている」を何度も何度も繰り返し、
うんざりした私がイラつきながらも「そのルールに反する話ではないと思うが?」、「いいですか? こういう話ですよ? 問題ないでしょう?」と根気よく説明をして訴えると、「なるほど、そういうことですか、やっと理解出来ました(^-^)」と頷き、
それでも「自分には判断ができないので上の者を呼んできます」と裏へ行き10分近く待たせ、"上の者" を連れて戻ってきた。
結局、何ら問題はない、ということが判り、無事に処理されて終わったのですが・・・
気づいたのは、
「窓口で対応した職員の男性が、終始ニコニコ笑っていたから、私はひどくイラついたんだ」
ということでした。
私が必死に説明してるのに、笑顔。
私が困り果てても、呑気な笑顔。
私が怒っても、やっぱり笑顔。
ずっと笑顔だったのです。
目の前の私がどんな表情でどんなことを言っても、それに気づかず、"ずっと変わらぬ笑顔" をしていたから、私はイライラしたんですね。
だめだ、この人。わかる気がない・・・
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接客業の人が知っておくといい「表情」というのがあります。
まず、ベースは笑顔ですよね。誰でも知ってます。
それから、不安な気持ちのお客さんに適当な表情も、優しい笑顔です。
でも、
イライラしている人に接するときに適当な表情は、不安な表情。
悲しい表情をしている人に接するときに適当な表情は、悲しい表情。
いつ何時もずーっと笑顔、じゃない。
って、当然ですね。
細やかな本物のホスピタリティーを心得たサービス業の方なら、誰もが習得して、意識せずとも使っているスキルだと思います。
サービスを受ける人のことを心から考えていれば、「相手の気持ちに合った表情」「相手の感情に寄り添った表情」というものは自然に出来てくるものだと思うのですね。
でも、難しい人には難しいかもしれません。「そんな余裕はない」とか。
とはいえ、そういう人でも、目の前にいる相手がどんな気持ちで何を解ってほしいと思っているのか・・・、そこを想像して「適当な(ふさわしい)表情を作る」という「形」から入ることはできそうじゃないですか?
その「形」(表情という感情の「器」)に、誠実な本当の感情を入れていけばよい、そのバリエーションを増やしていけばよい、そう思います。
サービス業は、笑顔の接客が基本です。
でも、ワンランク上を目指すなら、
相手をよく見て気持ちを想像し、それに敏感に反応する「表情接客」の訓練 を、どんどんやってみてほしいと思います