自分は「何者」なんだろう ~ 映画『何者』
2016年 10月 20日
映画『何者』を観てきました。
自分の娘と同い年の朝井リョウさん(直木賞初の平成生まれ受賞者ですね)原作の作品です。
登場する大学生を演じているのも、娘または息子と全く同じ世代の俳優たちでした。
佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之・・・と若手の実力ある役者さんばかり。
観た人の「あー、わかるわぁ」「こういう子、いるいる」を誘う演技、素敵でした。それぞれがハマってるな、と思いました。
今の時代の就活がどんなものなのか。大学生らは、直面した就活でどんな体験をしているのか・・・。
私の娘は大学を出て看護師になりましたし、息子は大学を辞めていますから、私は、いわゆる「就活」をする大学生の母親としては “我が子の就活” を経験してはいないので、その実際については、報道されているものや、相談に来られるお客さんのお話とママ友たちが語ってくれる体験談とで知っていたくらいですが、なるほど本当にこんなふうなのか、と先ず溜め息をついてしまいました。こんなに大変なことなのだな、と。
いかにも優秀で どこの企業もが「この子欲しい!」と思うような子や、自分をバンと表現できる達者な子はよいでしょうが、
教わった型どおりに動いて就職先を見つけようと奮闘する “あんまり向いていない” 子たち、自分が「何者」かがわかっていない子にとっては、ほんとに苦しい闘いですね。
就職フェアや入社試験に臨む、スーツを着た学生たちは、首から上を水面に出して、群れから置いて行かれないように、沈まないように、必死に泳いでいるように見えて、息が詰まるようでした。
作品に出てくる Twitter もまた・・・
主人公(佐藤健くん)ほか登場する大学生は、目の前にいる相手に直接話をしないで SNS を経由させたり、いわゆる裏アカを持っていて、そこで毒を吐いていたりするんだけど、
誰にも知られたくない感情を抱えつつ、建前と本音を使い分けながらコミニュケーションを図り、微妙な距離感で繋がっています。
これがまたおそらくリアルなんでしょう。うーむそうなんだね、と唸ってしまった。
最後、主人公が面接会場を後にし表へ出るシーンは、胸を打たれました。
さすが佐藤健くん、いい顔します^^
裏アカで140文字の毒を吐いていた主人公、
面接で「1分間で自分を語る」が出来なかった主人公が、
新しい確かな一歩を踏み出したことのわかるシーンでした。
主題歌の 「繰り返し向かえ 遠く向こうへ」 「下手くそでも向かえ 遠く向こうへ」 の歌詞と中田ヤスタカさんのメロディーと相まって。。
自分って「何者」?
その答えは、何をしたいのか の 問いの後、そして、何をして何を考えたのか の もっと後に、やって来るんでしょう