「もっきり(盛り切り)」 …グラスが先。升はその後。
2018年 06月 19日
ほんとうは自分だって空腹なのに、
「お母さんはお腹空いてないから、おまえ、全部お食べ…」
昔話に出てきそうなシーンのセリフです。
こういうのって、子どもからしたら、嫌なものです。
子どもは、少し大きくなってくれば、お母さんが満足しているのかいないのか、分かってしまいます。
私の育った家は、特に小さい頃は貧しくて、
さすがに母のお腹が空腹でぐうと鳴る…ということはなかったものの、
「お母さんはいいから、あんたたちで食べなさい」
ということはありました。
たまにデパートに出掛けても、
「お母さんは別に欲しい物なんてない。何もいらない。あんたたちの好きなもの買いなさい」
と、母は促すのでした。
嫌でしたねぇ…、心地悪かった。楽しくなかった。
親子でなく恋人同士でも同じですね。
「私はいいの。あなたさえ喜んでくれるのならそれで…」
という "献身" は、美しいようで美しくない。愛のようで愛ではない。
「もっきり(盛り切り)」 というのを知っていますか?
↓↓↓こういうやつです。
升の中にグラスを置き、お店の人が一升瓶のお酒をグラスに、お酒がグラスから溢れて升に零れるまで並々と、注いでくれるスタイルのことです。
まずグラス(=自分)のお酒が満杯になると、溢れたお酒が升(=周りの人たち)に流れ込んでいく…。
誰かを、周囲のみんなを、お酒で、いえ、愛で、満たしたいなら、
先ずは自分が満たされなくちゃいけません。
グラス(=自分)が先。 升(=周りの人)は後。
忘れないでいてください