「影(シャドウ)」の肩代わり
2018年 07月 11日
ユング(スイスの精神科医・心理学者) は 「影(シャドウ)」 という概念を提唱しました。
私たちは、社会に、そして自分の人生に、自分を適応させるために、「仮面(ペルソナ)」 をつけて生活しています。
そして、「好ましくないと思っている/都合の悪い 感情や欲求」 を、無意識化に抑え込んで生きています。
自分から切り離して(切り離したことにして)、無かったことにしています。
その、抑圧された感情や欲求のことを「影(シャドウ)」と言うんですね。
見えにくい場所に隠しているだけで、無いわけでないわけですから、
じつは無意識の領域から、私たちを振り回してきます。
「なんでそのことになると モーレツに怒るのかなぁ…。実害があるわけじゃなかろうに…」
という人がたまにいますが、
それなどは、ある特定のことがらがシャドウを刺激しいる現象で、「シャドウに振り回されている」という言い方ができますね。
また、あまりにも強くシャドウを抑圧している場合、
その人のシャドウを、その人の家族や身近な人(子どもとかパートナー)が、その人に代わって表出・表現する場合があります。
心理学者の河合隼雄先生は それを、「シャドウの肩代わり」 とおっしゃいました。
たとえば、親が、自分の気持ちや欲求を過度に抑圧してフラストレーションを抱えていると、子ども(特に感じやすい優しい子)は、その重いキツい感情やフラストレーションを引き受けて、"問題" を起こしたりします。
代わりに発散してくれている、ということです。
それがわからない本人(親)は、子どもの問題行動の方をなんとか解決しようとするわけですが、それでうまくいくことはないわけです。
また たとえば、自分の暴力性に気付けずにいると(キツく抑圧をかけていると)、パートナーがやたらと暴力的、という構図を作る…ということもあります。
よく言われるように、周囲の人は「鏡」です。
「鏡」に好ましくないものが映ったら、鏡に文句を言っていないで、自分の心を覗いた方がいいです。
特に幼い自分の子どもには、自分のシャドウを肩代わりさせることのないようにしたいですね。
これ、ほんとに多くの親がやってしまいます。
私自身も振り返ると……やってましたね(心が痛む…)。
自分のシャドウと向き合って、抑えてきた(自分から切り離してきた)欲求や感情に気づき、統合していきたいですね。これは私も貴方もみーーんな、です。
そうすることでちょっとずつ、より深い、より広い、まぁるい心をもった優しい人に、成長・成熟していきたいと思います